待ったなし!本気の財務リストラ 第1回(m)


基本的な考え方

成功したらいくらのトクか

具体的な数字で考えよ!


モノが売れない、カネも借りられない…。こんな時代に対応するため、企業には強い財務体質が必要になっています。全6回、財務リストラの具体的な手法を紹介していきます。


第1回目は、財務リストラの基本的な考え方についてです。


日本経済は今、深刻な景気低迷が続いています。売上げの減少と在庫の膨張、それに伴う利益の縮小、重い固定費の負担が経営を圧迫、さらには多額の不良債権を抱え弱体化した銀行の貸し渋りが、中小企業の経営環境を一層厳しいものにしています。


こうした環境の中、いつの間にか会社が〝赤字体質〟となってしまい、資金繰りが苦しくなり、「とにかく金がない」と悩んでいる経営者の方々は、全国に数多くおられることでしょう。

今の時代は、かつてのように「金が足らなければ、すぐ銀行から借りられる」という時代ではありません。ご存知のように、銀行自身も自らの財務体質の強化に手一杯で、とても資金繰りにあえぐ企業に融資する余裕などないのが現状なのです。信用力の高い大企業であれば、市場から直接資金を調達することもできますが、中小企業の場合、おいそれとはいきません。


もはや銀行融資もあてにできないとあっては、企業も自らの力で借入依存体質を改めなければなりません。赤字体質に陥った企業は、一段の自助努力による赤字体質からの脱却が急務の課題となっています。

そこで取り組むべきは財務リストラです。財務リストラとは、「赤字体質の原因となっている部分はどこなのか」ということを各勘定科目から洗い出し、不採算点そのものズバリを発掘、発見し、これを改善することです。その結果、儲けを生み出す財務体質に会社が生まれ変わるのです。


商売の実務にたけた百戦錬磨の強者であっても、こと財務に関してはほとんどご存知ないという方が多いです。どうしたら、もっと儲けを出すことができるかということについて、キラリと光るアイデアを見つけ出していただきたいのです。


財務改善のポイントはアイデア!アイデアを活かせる計画を立てよ

多くの企業では、「過大な利払い、放漫な経営を圧縮すれば、無理なく赤字体質から脱却できるのに」というケースが少なくなくありません。赤字体質の会社の大部分は、 財務改善が正しく行なわれていないため、資金繰りの袋小路に入り込んでしまい、そこから抜け出す手だてが見つからないだけなのです。


企業にとって、経済状況の変化と産業構造の激変の波は、だいたい2~3年に一度の割合で押し寄せてきます。

そこでその都度、財務の見直しと改善の必要性が出てくるわけですが、 財務リストラの基本的な考え方は、不採算点・不採算部門の切り捨て排除をすれば、「年間でいくらの資金を社内留保に回すことができるようになるか」ということです。言い換えれば、「この項目を改善すれば、お金に換算して年間いくらになる」ということが、あらかじめ計算できるということ。具体的に「何をどう変えれば、結果としてどれだけの金銭的なプラス効果か得られるのか」と考え、計画立案し、実践するのです。


この時に重要なのは、いかに的を得たアイデアを出せるかということです。いかに自社の実態にあった形でアイデアを組み合わせ、そしてそのアイデアが十分に活かせるような実行計画を立てられるかに、財務改善の成否かかかっています。


では、財務改善のための重要ポイントとは何かといえば、それは次の四項目に集約できます。


①チョイ借りをまとめて長期借入金ヘシフトする

 煩雑な借入金の件数と月間支払元利金を減少させて、手元流動資金を確保することが

 目的。

②経費削減をはかる

 月間の売上げから、いくらの儲けが出るのか、毎月一般管理販売費のこの項目の支払い

 をなくせないのか。

③利幅を拡大する

 販売単価は動かせない。では外注費、仕入単価を見直して、毎回の支払金額を引き下げ

 ることはできないのか。

④社長の個人資産を増強する

 社長にはボーナスや退職金が望めないので、せめて人の何倍も働いている社長の給料を

 引き上げられないか。こう考えることで社長自身の意欲が湧いてくる。


もっと細かく言えば、次の八大重要ポイントが推進にあたっての重要な意味をなすといえるでしょう。

①金融機関と上手につき合うこと

②支払手形を減らすこと

③チョイ借りを減らすこと

④借入金口座をまとめること

⑤借入依存率を減らすこと

⑥資金繰りの円滑化をはかること

⑦利幅の拡大をはかること

⑧社長の給料を上げること

これらの基本的な項目が財務リストラの導入であり、結論です。


社長自身が何を実現したいのか。まず目標をはっきりさせること

私か知る限り、赤字体質となっている企業の経営者の大半は資金繰りを含めた財務について、いつでも相談できる良きパートナーをもっていないというのが実状のようです。そして、ほとんどの経営者が「とにかく金がない」「このままではいけない」「なんとかしたい」と考えているにもかかわらず、具体的な対策を取れずにいます。

それぞれの企業の事情によって、その悩みのタネは様々です。


◆赤字体質企業の抱える悩み◆

①会社を健全化したい

 売上げの大幅ダウン。こんなはすではなかったのに、何かいい方法はないものか

②資金繰りを円滑化したい

 毎月の資金繰りが厳しい。もっと資金繰りを楽にしたい

③月間の固定費を軽減したい

 毎月の支払いが大変だ。もっと支払いを減らすことはできないか

④利幅の拡大をはかりたい

 利益率が悪い。同じ売上げでも、もっと儲けを出せるようにしたい

⑤物的リストラをしたい

 日頃からムダな出費が多いと感じている。不採算なものを取り除きたい

⑥その他、財務上の問題点を解決したい

 いろいろな悩みがつきない。親身になってくれる財務アドバイザーが常にそばに

 いてほしいと思っている


しかし、すべての経営者に共通した悩みは、①自分の資産を増やしたい、②資金繰りを楽にしたい、という2点に集約されます。

もちろん、企業規模や業績、業種、歴史などがそれぞれ全く違っているように、どれくらい資産を増やしたいのか、どの程度資金繰りを楽にしたいのか、そしてそのためにどんな処方箋が考えられるのかは会社によって千差万別です。


そこで重要なことは、まず経営者自身が財務を改善することで、何を実現したいのかをはっきりさせることです。ただ漠然と「なんとかしたい」と考えるだけで、自分の希望が何であるか、わかっていない経営者も多いです。自分の希望を具体的なプランにすることで、人は初めて心の底からやる気になるのです。


まず、下記の①から③を満たす希望を四つだけ④に書き込んでみましょう。漠然とした夢ではなく、経営者自身でなければ書けない数字のデザインを書き込んでください。実現可能かどうかは二の次として、できるだけ具体的な金額を明記することです。


◆自分の希望を明確にしよう◆

①会社経営についての希望は?

(例)資金繰りを楽にしたい、売上げを伸ばしたい…

②自分の資産についての希望は?

(例)家を建てたい、預金がほしい…

③ ①、②に「1年後」という条件をつけると?

(例)1年後に家を建てたい…

④ ①~③を満たす4つの希望は?

(例)1年後に借入れを半分にしたい…


「希望を明確にする」とは経営者自身の希望を、他ならぬ経営者自身に知らせること。それは経営者としての行動の原点なのです。

前述したように、財務改善のポイントは「改善すればいくらトクするか」を算出し、金額に換算することにあります。社員のやる気を出させるとか、教育を充実させるとかで会社が変わるといったレベルのものではないですし、ましてや精神論でもありません。


こういったことは、会社を発展させるために大事なことではありますが、目先の資金繰りに困っている会社にとって、それよりはるかに優先順位の高いものがあるはずです。社員のやる気が出たからといって、それでいくらの売上増になるという具体的な数字が出てくるわけではありません。財務改善とは具体的な数字が伴うものなのです。この大原則を常に念頭におきましょう。

《改善項目の合計金額は年間〇〇万円のプラスになった》

財務リストラの最終目標はこの〇〇に具体的な数字を入れることなのです。


これまで漠然としていた希望、経営者としての目標にピントがあって、目指すべき金額も弾き出されたら、その目標に向かって、いよいよスタートです。財務改善に取り組むうち、経営者自身の意識か変わり、今現在の希望と金額が、より大きい希望へ、より大きい金額へと修正されていけばベストです。


〝改善できる項目を洗い出そう〟のチェックリストを見てください。

このチェックリストの目的は、あなたの会社で改善できる項目を洗い出すことです。それぞれの項目について「可能」なら2点、「やや可能」は1点、「不可能」はゼロとして採点し、合計を出してみます。


よくわからないという項目については「不可能」と同じゼロをつけておけばよいです。

この合計点が9点以上なら、必ずや強い財務体質をもった会社に生まれ変わることができます。もし、8点以下だったとしても絶望してはいけません。強い意志と方法さえあれば、改善の道は開けるはずです。


チェックリストの中に「手形取引をやめることかできる」という項目がありますが、あなたの会社では手形取引をやめるための交渉をしたことがあるでしょうか。

あったとすれば、電話で行なったのか、直接交渉したのか。なかったとすればどうしてなのか。経営者自身か、「面倒くさいから」「金にからむ話は苦手だから」と言っているようでは、強い財務体質をつくりあげることはできないのです。


他の項目についても、改善できそうなものがあるかどうか洗い出してください。いろいろな改善イメージが湧いてきたらしめたものです。


◆チェックリスト 改善できる項目を洗い出そう◆

①手形取引をやめられますか?

②支払サイトを変更できますか?

③借入金決済口座をまとめられますか?

④決算書からある程度問題点を読みとることができますか?

⑤コスト削減箇所を5つ見つけることができますか?

⑥短期借入金から長期借入金にシフトできますか?

⑦残業代・休日手当の削減ができますか?

⑧在庫を抱えない仕事ができますか?

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